【5分で解決!】サプライチェーン攻撃から供給網全体を守る対策を解説
2026年8月6日

目次
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昨今、ニュースやビジネスシーンでサイバー攻撃の脅威について、目にする機会が増えてきました。
「自社はセキュリティ対策を万全にしているから大丈夫」と安心していませんか?
実は、どれだけ自社のセキュリティ対策をとっていても、取引先や子会社、利用しているソフトウェアを経由して、気づかないうちにシステムへ侵入される被害が世界中で多発しています。
なぜなら、サイバー攻撃者は最もセキュリティの薄いサプライチェーンの弱点を狙って組織に忍び込んでくるからです。
ここでは、現代の企業が必ず知っておくべきサプライチェーン攻撃の基礎知識や恐ろしい手口、最新の事例について分かりやすく解説します。
本コラムを読み終えていただければ、自社のみならずビジネスパートナーを含めたサプライチェーン全体のリスクを把握し、今どのような対策を講じるべきなのかという明確な目的意識を持つことができるようになるでしょう。
1.現代のビジネスではサプライチェーンのセキュリティが重要
現代のビジネスにおいて、自社のセキュリティ対策だけを固めるのでは不十分であり、取引先や委託先を含めたサプライチェーン全体のセキュリティを強化することが極めて重要になります。
では、なぜサプライチェーンのセキュリティが重要なのでしょうか。
その理由として、サプライチェーン攻撃がターゲット企業の信頼関係や、業務上の繋がりを悪用する可能性があるという、極めて検知しにくい特徴を持っているからです。
近年、世界規模での分業体制やDXの進展、クラウド利用の普及により、企業のビジネス環境は複雑に広がり、多くの関連組織が生産や物流などのプロセスに関与するようになりました。
攻撃者は、本来侵入が難しいセキュリティレベルの高い大企業を直接狙う代わりに、比較的セキュリティ対策の手薄な中小企業、海外拠点、業務委託先などの直接の当事者ではなく、第三者を最初の足掛かりとします。
外部の事業者は業務の特性上、ターゲット組織のシステムや機密データへの強力なアクセス権限を持っている事が多く、普段通りの正規の通信を装って侵入されるため、侵入段階で気づくことは非常に困難です。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)でも、サプライチェーンの弱点を悪用した攻撃は長年にわたり上位にランクインしており、事業規模や業種を問わず、早急な対策強化が求められているのが現状です。
2.サプライチェーン攻撃の「3つの種類」と具体的な脅威

一口にサプライチェーン攻撃と言っても、その侵入経路や悪用される対象によって手口は様々です。
ここでは、企業が警戒すべき代表的な3つの攻撃分類について、それぞれの特徴と脅威の仕組みを詳しく見ていきます。
(1)ソフトウェアサプライチェーン攻撃
これは、業務で広く使用されているソフトウェアの製造や提供の工程を侵害し、アップデートプログラムなどに不正なコードを混入させて組織に侵入する手法です。
信頼している正規のベンダーから配布される正規のアップデートにマルウェアが埋め込まれているため、ユーザー側で防ぐことが難しく、被害が世界中へ一瞬にして広範囲に波及する恐れがあります。
(2)サービスサプライチェーン攻撃
企業のネットワーク管理やシステム運用を委託されているMSP(マネージドサービスプロバイダ)や、クラウドサービスなどの外部サービス事業者をターゲットにする攻撃です。
サービス事業者は、数多くの顧客企業のシステムへアクセスできる強力な特権を保有しています。
そのため、この事業者が一度侵害されると、そこを起点として繋がっている顧客企業へ次々とランサムウェアなどの攻撃が拡散され、何千社もの組織が一斉に稼働停止に追い込まれるような甚大な被害に繋がります。
(3)ビジネスサプライチェーン攻撃
標的とする企業の系列企業、海外拠点、親密な取引先などを直接侵害し、その業務上の繋がりを利用して本来の標的である国内本社などへと不正侵入する手法です。
サイバー攻撃グループが、国内の本社よりもセキュリティが手薄になりがちな海外拠点を先に攻略し、そこから社内専用回線を通じて国内の重要システムへ侵入する手口は、すでに常套手段化しています。
3.サプライチェーン攻撃による被害事例
サプライチェーン攻撃は決して他人事ではありません。
ここでは実際に国内外で発生し、数多くの企業や組織に壊滅的なダメージを与えた、重大なインシデント事例をベースに紹介していきます。
(1)ソフトウェアやツールの脆弱性を突いた大規模侵害
信頼されたIT管理ソフトウェアや、ファイル転送ソフトウェアの脆弱性が悪用され、世界中の政府機関や大手企業が機密データを盗み取られる事件が発生しています。
一例として、米国企業のシステム管理ツールのアップデート機能が乗っ取られた事例では、世界各国の政府機関を含む約1万8,000以上の組織が不正なプログラムを配信され、大きな衝撃を与えました。
また、広く普及しているファイル転送ソフトウェアの脆弱性を突いた攻撃では、世界的な給与計算代行サービス企業や航空会社、公共放送事業体から顧客データや従業員情報が大量に漏えいし、データ公開を盾に身代金を要求されるランサムウェア被害へと発展しました。
(2)開発環境やエコシステムを狙った最新の攻撃
近年では、ソフトウェアの開発段階で使用されるオープンソースのソースコードや設計書に対する標的型フィッシング攻撃も発生しています。
攻撃者は、パッケージの開発保守担当者のアカウントを奪取し、広く使われているJavaScriptパッケージに悪意のあるコードを注入しました。
これにより、そのプログラムに依存する無数のWebサイトやアプリケーションが潜在的な危険にさらされることとなりました。
また、ハッキングフォーラムに過去最大級となる100億件近くのパスワードが統合されて流出した「RockYou2024」のような事例もあり、複数のサービスで認証情報を使いまわすことが、サプライチェーン全体を揺るがす重大なリスクになることを実証しています。
(3)外部AIサービスや公開チャットボットによる情報漏えい
昨今のトレンドでもあるLLM(大規模言語モデル)や一般公開チャットボットの業務利用も、新たなデジタルサプライチェーンのリスクとして浮き彫りになっています。
従業員が業務の効率化のために外部のAI基盤を利用する際、社内の機密情報やインサイダー情報を入力してしまうことで、対話や学習のプロセスを通じてその情報が意図せず外部へ流出したり、他のユーザーへの回答として誤って公開されたりするリスクが指摘されており、企業としての信用が問われています。
4.サプライチェーン攻撃から自社を守るための秘訣
悪質でわかりにくいサプライチェーンへのサイバー攻撃に対して、企業はどのように自社とパートナーを守るべきなのでしょうか。
そこで、組織の体制づくりと、最新のテクノロジー導入という2つのアプローチから、実効性の高い具体的な経営対策を提示します。
(1)経営者が認識すべき重要な10項目への対応
経済産業省とIPAが策定した「サイバーセキュリティ経営ガイドラインVer3.0」には、サイバーセキュリティ経営の重要10項目として、下記が制定されています。
指示1 :サイバーセキュリティリスクの認識、組織全体での対応方針の策定
指示2 :サイバーセキュリティリスク管理体制の構築
指示3 :サイバーセキュリティ対策のための資源(予算、人材等)確保
指示4 :サイバーセキュリティリスクの把握とリスク対応に関する計画の策定
指示5 :サイバーセキュリティリスクに効果的に対応する仕組みの構築
指示6 :PDCA サイクルによるサイバーセキュリティ対策の継続的改善
指示7 :インシデント発生時の緊急対応体制の整備
指示8 :インシデントによる被害に備えた事業継続・復旧体制の整備
指示9 :ビジネスパートナーや委託先等を含めたサプライチェーン全体の状況把握及び対策
指示10:サイバーセキュリティに関する情報の収集、共有及び開示の促進
引用:経済産業省 独立行政法人 情報処理推進機構 サイバーセキュリティ経営ガイドライン Ver 3.0
https://www.meti.go.jp/policy/netsecurity/downloadfiles/guide_v3.0.pdf
上記のガイドラインに基づき、経営者は自社のみならず、国内外の拠点やビジネスパートナーを含めた、サプライチェーン全体の状況把握及び対策を自らの責任として主導しなければなりません。
適切なセキュリティレベルを維持するためには、委託先や取引先を選ぶ段階からリスクマネジメントを徹底し、契約書面でセキュリティ対策の基準を明確に合意すること、速度感を持って定期的に対策状況の報告を義務付けるといったルール化が極めて有効です。
また、自社が製品やサービスを開発・提供する側の場合は、企画・設計段階からセキュリティに特化した専門チームを社内に設置する体制の構築も推奨されています。
(2)テクノロジーを活用した包括的な防御とリスク管理
巧妙化する攻撃を未然に防ぎ、被害を最小限に抑えるためには、従来の端末防御を超えた包括的なセキュリティプラットフォームの導入が不可欠です。
例えば、トレンドマイクロ社が提供する「Trend Vision One™」のようなXDRを活用すれば、PCやサーバーといった端末だけでなく、メール、ネットワーク、クラウド環境など、複数の階層からファイルやプロセスの活動履歴データをリアルタイムに収集・分析することができます。
これにより、正規の通信に紛れた不審な動きを早期に検知・対処することが可能になります。
さらに、インシデントが起きた後の対応にとどまらず、平時から環境全体のリスクを可視化・評価し、脆弱性を先回りして潰すことを推進していくことが、サプライチェーンという広大な守備範囲を守り抜く盾となるのです。
5.まとめ
本コラムで解説してきたサプライチェーンの攻撃を防ぐセキュリティの本質について、最後に重要なポイントを振り返り、企業がこれから進むべき明確な方向性の足場を固めていきましょう。
まず、これからの時代、企業が持続的に成長し信頼を守り抜くためには、自社単体のセキュリティ対策を築くだけでなく、ビジネスに関わるすべての供給網を見据えた「サプライチェーンセキュリティ」の強化が絶対に不可欠です。
なぜなら、現在のサイバー攻撃は最もセキュリティの脆弱な関連企業や取引先を踏み台にし、普段の信頼関係を悪用して侵入してくるため、自社だけの対策では防ぎきれない二次被害や、自社が加害者になってしまうリスクが極めて高いからです。
実際に、大手企業の海外拠点や委託先のシステム、あるいは広く使われているソフトウェアのアップデートやファイル転送サービスが攻撃の起点となり、何万社もの顧客データ漏洩や長期間の業務停止、身代金の要求へと発展した悲惨な事例が世界中で後を絶ちません。
だからこそ、経営層が主導して「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」に則った取引先管理の体制を整えるとともに、広範なリスクを統合的に管理・検知できる最新のセキュリティプラットフォーム(XDRなど)を導入し、サプライチェーン全体を包括的に防御する仕組みを今すぐ構築すべきなのです。
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