2024年7月1日
SDGsは環境問題を含むグローバルな課題を解決するための目標が設定されており、SDGsの達成が環境問題の解決にもつながるため、両者は深く関係しています。企業がSDGsに取り組むことで環境問題の解決に貢献することが期待されています。
1.SDGsと環境問題の関係性とは?
SDGsと環境問題の関係は非常に密接です。
今、地球全体が抱えている環境問題として、地球温暖化、大気汚染、海洋汚染、多発化・激甚化する自然災害などが日々起きており、地球上には解決すべき問題が山積みとなっています。
SDGs(持続可能な開発目標)は、これらの環境問題に対処するための目標を設定しており、国際社会全体での取り組みが求められています。
SDGsの目標は、環境・社会・経済の3つの主要なカテゴリーに分類することができます。
そして、「環境の持続可能性」「社会的な包摂性」「経済的な成長」の3つの側面をバランス良く進めることを目指しています。
「環境の持続可能性」の中には、
- 目標6 「安全な水とトイレを世界中に」・・・水と衛生の利用可能性と持続可能な管理
- 目標12 「つくる責任つかう責任」・・・持続可能な消費と生産形態の確保
- 目標13 「気候変動に具体的な対策を」・・・気候変動の対策
- 目標14 「海の豊かさを守ろう」・・・海洋と海洋資源の持続可能な利用
- 目標15 「陸の豊かさも守ろう」・・・陸上の生態系の保全と持続可能な利用
といった環境問題に直接関連する目標が含まれています。
これは、人間の活動が地球環境に大きな影響を及ぼし、その結果が経済や社会にも悪影響を及ぼすという認識からです。
例えば、気候変動は農業や水資源に影響を及ぼし、人々の生活や生計を脅かします。また、海洋汚染や森林破壊は生物多様性を損ない、地球の生態系の健康を脅かします。
SDGsと環境問題の関係は非常に密接なのです。
2.環境に関連する目標を5つ解説
SDGsの目標の中で環境に関連の深い目標を5つと、それぞれに該当する一部のターゲットと主な取り組みの具体例をピックアップして紹介します。
6 安全な水とトイレを世界中に
6.6 水に関わる生態系を保護・回復する ・節水
・水使用量の削減・監視
・水質汚濁防止の取り組み
・水道使用量の監視12 つくる責任つかう責任
12.4 化学物質や廃棄物の適正管理により大気、水、土壌への放出を減らす
12.5 廃棄物の発生を減らす・3Rの推進(リデュース、リユース、リサイクル)
・再利用可能な素材や部品の使用
・有害化学物質や廃棄物の排出に関するデータの管理
・製品ライフサイクルの延長などの循環型ビジネスモデルの実施13 気候変動に具体的な対策を
13.2 気候変動対策を政策、戦略及び計画に盛り込む
13.3 気候変動対策に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する・環境に配慮した商品の取扱い、サービスの提供、製品の開発・設計への取り組み
・気候変動に備えた事業継続計画(BCP)の作成、研修や訓練の実施
・製品・サービスのCO2排出量削減
・太陽光発電、風力発電などの自家消費14 海の豊かさを守ろう 14.1 海洋汚染を防止・削減する
14.2 海洋・沿岸の生態系を回復させる
14.3 海洋酸性化の影響を最小限にする・海辺の清掃活動への参加
・プラスチック製品の使用量削減
(マイボトル、エコバッグの積極的利用)
・プラスチック製品のリサイクル
・自社製品に使用されるプラスチック・非分解性材料の量の削減。15 陸の豊かさも守ろう
15.1 陸域・内陸淡水生態系及びそのサービスの保全・回復・持続可能な利用を確保する
15.2 森林の持続可能な経営を実施し、森林の減少を阻止・回復と植林を増やす・ペーパーレス化
・植林・植樹活動への参加
・里山保全活動への参加
・緑の募金への寄付
3.業界別、取り組みやすい目標とその活動
次に業界別での環境に関するSDGsの取り組みとして、大きく分けて製造業、建設業、IT関連サービス業の取り組む上での目標と事例をご紹介します。
■製造業
≪目標≫
- エネルギー効率の向上
- 廃棄物の削減
- 持続可能な資源利用
≪取り組み事例≫
- 再生可能エネルギーの導入:工場の電力を太陽光や風力などの再生可能エネルギーでまかなう。
- エネルギー効率の改善:省エネ機器の導入や生産プロセスの最適化を行い、エネルギー消費を削減する。
- 廃棄物のリサイクル:製造過程で出る廃棄物をリサイクルし、廃棄物の削減を図る。
- 環境に配慮された材料の使用:環境に優しい資材やリサイクル素材を使用した製品の開発。
■建設業
≪目標≫
- 環境に配慮した建築物の設計
- 資源の効率的な利用
- 環境負荷の低減
≪取り組み事例≫
- グリーンビルディングの推進:エネルギー効率の高い建物や、再生可能エネルギーを利用した建物の設計・建設。
- 資源のリサイクル:建設現場で出る廃材をリサイクルし、資源の無駄を減らす。
- 低炭素建材の使用:環境負荷の少ない建材を使用し、建設過程でのCO2排出を削減する。
- 水資源の管理:雨水の再利用や節水設備の導入を行い、水資源の効率的な利用を推進する。
■IT関連サービス業
≪目標≫
- エネルギー消費の削減
- 環境に優しいデータセンターの運営
- デジタル技術を活用した環境保護
≪取り組み事例≫
- クラウドサービスの活用:クラウドサービスの提供による紙の使用量を削減する。
- リモートワークの推進:通勤によるCO2排出を削減し、環境負荷を軽減する。
- デジタル技術を活用した環境モニタリング:IoTやビッグデータを活用して環境データを収集・分析し、環境保護に役立てる。
4.環境保護の重要性を示した「SDGsウェディングケーキモデル」とは
SDGsのウェディングケーキモデルをご存知でしょうか。
SDGsウェディングケーキモデルは、SDGsの17の目標を3つの層に分けて視覚的に表現したもので、持続可能な開発のための優先順位と相互依存性を強調しています。
これは、スウェーデンの環境科学者であるヨハン・ロックストローム(Johan Rockström)と、彼が所長を務めるストックホルム・レジリエンス・センター(Stockholm Resilience Centre)の研究チームによって提唱されました。
具体的には、基盤となる「環境の持続可能性」、その上に「社会の持続可能性」、そして最上層に「経済の持続可能性」が配置されています。
環境保護が重要だと言われているのは、このモデルにおいて環境が他のすべての目標の基盤となっているためです。
つまり、環境が健全でなければ、社会の安定や経済の発展も持続可能ではないという考えを示しています。
5.SDGsに関する世界と日本の方向性
世界では、2030年度の目標達成に向けて、アジア地域の脱炭素化の推進や、開発途上国の脱炭素化と気候変動対策に取り組むことが計画されています。
さらに、エネルギー安全保障の強化と環境に配慮した食料システムの確立、食料安全保障の強化にも取り組むことが必要とされています。
それに対して、日本国内においても、地球規模課題への取組強化として、気候変動、生物多様性の損失及び汚染への取組及びグローバル ・ ヘルスの推進 (ネット・ ゼロ、ネイチャーポジティブ、地域循環共生圏、防災 ・ 減災、ユニバーサル ・ ヘルス ・ カバレッジ等)を進めていくこととされています。
なお、2022年4月東証市場再編後のプライム市場上場会社に気候変動によるリスク情報の開示が、実質的に義務付けられました。
これにより、日本の企業は環境への影響をより透明に報告し、投資家やステークホルダーに対して責任を果たす動きが加速することが予想されます。
まとめ
SDGsは、環境問題を含むグローバルな課題を解決するための目標です。企業がSDGsに取り組むことで、単なる社会貢献にとどまらず、環境保護や持続可能な社会の実現、ビジネスの持続可能性と競争力を高めるための重要な戦略となります。
これからも、各企業に対してもSDGsへの取り組みはさらに重要視されることが予測されるため、企業一つ一つがSDGsの目標に向けて行動を起こすことが重要です。
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