ひとり情シスとは?抱える業務と起きやすい問題をわかりやすく解説
2026年11月2日

目次
もっと見る
社員からのPCの問い合わせに答え、アカウントを発行し、ネットワークの不調にも対応する。気づけば毎日がその繰り返しで、「この状況は普通なのか」「何が問題なのか」を考える余裕すらない。そんな方も多いのではないでしょうか。本記事では、ひとり情シスとは何か、なぜ生まれるのか、どのような業務を抱え、どんな問題が起きやすいのかを順に整理し、最後に状況を変えるための方向性を紹介します。読み進めながら自分の業務と照らし合わせることで、今の状況を一歩引いて客観的に見られるようになるはずです。
1. ひとり情シスとは?社内のIT業務を1人で担う状態

ひとり情シスとは、社内のIT業務を1人の担当者が担っている状態のことです。IT業務の専任者が1人だけの場合も、総務や経理などの業務と兼任しながら1人でIT業務を担っている場合も含みます。
(1)定義
情シスとは「情報システム部門」の略で、社内のIT環境を整え、運用する役割を指します。本来は複数人のチームで分担することもある業務ですが、ひとり情シスの場合、その範囲のほとんどを1人で受け持つことになります。
ひとり情シスには、大きく2つのパターンがあります。
- 専任型
- IT業務の専任者として採用・配置されているが、担当者が1人だけ
- 兼任型
- 総務・経理・人事などの本業を持ちながら、IT業務も1人で担っている
どちらの場合も、「IT業務について社内で相談できる相手がいない」「判断も作業も自分1人で行う」という点は共通しています。
(2)「ゼロ情シス」「情シス不在」との違い
ひとり情シスとよく比較される言葉に「ゼロ情シス」があります。違いは、IT業務を担う担当者がいるかどうかです。
| 観点 | ひとり情シス | ゼロ情シス(情シス不在) |
| IT担当者 | 1人いる(専任または兼任) | 明確な担当者がいない |
| IT業務の担い手 | その1人に集中する | 各部署や社員がその都度対応する、または詳しい人に非公式に頼る |
| 主な課題 | 業務の集中、属人化 | 対応のばらつき、責任の所在の不明確さ |
ゼロ情シスの状態から、「ITに詳しい人」が自然と頼られるようになり、ひとり情シスへ移っていくケースもよく見られます。
(3)どれくらいの企業に存在するのか
ひとり情シスは、中小企業を中心に一般的に見られる状態とされています。社員数が数十名から数百名程度の企業では、IT専任のチームを置くほどではないと判断され、1人の担当者に業務が集まりやすい傾向があります。
つまり、ひとり情シスは特別な状況ではありません。多くの企業で同じような状態が生まれており、自分だけが抱えている悩みではないという点を、まず知っておいてください。
2. ひとり情シスはなぜ生まれるのか
ひとり情シスは、誰かが意図して作った体制というより、会社の成長とともに少しずつ形づくられていくものです。よくある経緯を順に見てみましょう。
(1)IT業務が後から積み上がっていく経緯
多くの会社では、最初からIT業務という仕事が決まっているわけではありません。よくあるのは、次のような流れです。
- PCやメールの導入
- 会社として業務用のPCやメールを導入する。導入作業は、ITに少し詳しい社員や総務担当が引き受ける
- 兼務での対応の始まり
- 「パスワードを忘れた」「プリンターが動かない」といった相談が、導入を担当した人に自然と集まるようになる
- 業務の積み上がり
- 社員が増え、クラウドサービスやWeb会議ツール、テレワーク環境などが加わるたびに、管理するものが増えていく
- 固定化
- 気づけば社内のIT業務のほとんどをその人が担っているが、役割として正式に定められないまま時間が過ぎていく
このように、IT業務は「最初から用意された仕事」ではなく「後から積み上がった仕事」であることが多いのです。そのため、業務の全体像が誰にも把握されないまま、1人に集まっていきます。
(2)専任を置く判断がつきにくい企業規模
社員数が少ないうちは、IT業務の量もそれほど多くありません。しかし社員が増えるにつれ、問い合わせやアカウント管理、セキュリティ対策などの負担は確実に増えていきます。
問題は、「どの時点で専任者を置くべきか」という明確な基準がないことです。IT業務は売上に直接結びつく仕事ではないため、人員を増やす判断が後回しになりがちです。「今の担当者が回せているなら、それでよい」と判断されやすく、担当者の負担が見えにくくなります。
(3)兼任のまま固定化する構造
ひとり情シスが固定化しやすい理由の一つは、担当者が頑張るほど問題が見えなくなることです。トラブルがあっても担当者がすぐに対応すれば、周囲からは「ITは問題なく回っている」と見えます。その結果、体制を見直すきっかけが生まれにくくなります。
さらに、IT業務の内容は専門的で、ほかの社員や経営層には分かりにくい部分があります。どれだけの作業をしているのか、どんなリスクを抱えているのかが共有されないため、評価や人員配置の議論にもつながりにくいのです。
ひとり情シスの状態は、担当者の能力や努力が足りないから生まれるのではありません。IT業務が後から積み上がり、見えにくいまま1人に集まっていく。その構造によって生まれるものです。
3. ひとり情シスが抱える業務の範囲
ここでは、ひとり情シスが抱えることの多い業務を5つの領域に分けて紹介します。自分が担当している業務にチェックを入れながら読んでみてください。
(1)ヘルプデスク・問い合わせ対応
ヘルプデスクとは、社員からのITに関する問い合わせやトラブルに対応する業務のことです。
- 「PCが起動しない」「動作が遅い」などのトラブル対応
- パスワードの再設定やログインできないときの対応
- プリンター、Web会議ツール、業務アプリの使い方の質問への回答
1件ごとの作業は短くても、作業中に話しかけられたりチャットで呼ばれたりと、1日に何度も手を止めることになりがちです。「ちょっといいですか」と声をかけられて席を立ち、戻ってきたら何の作業をしていたか思い出すところから始める。そんな経験に心当たりのある方も多いのではないでしょうか。
特に兼任の場合、日中は問い合わせ対応に追われ、総務や経理といった本業にようやく手をつけられるのは就業時間が終わってから、ということもよくあります。周囲からは「ITのことで少し手伝っている人」と見えていても、実際には1日の大半がIT業務に取られている。まとまった時間が取りにくくなる原因になりやすい領域です。
(2)PC・アカウントの管理
社員が使う機器やアカウントを用意し、管理する業務です。
- 入社者向けのPCのキッティング(初期設定やソフトのインストールなど、すぐ使える状態に整える作業)
- メールや業務システムのアカウント発行・権限設定、退職者のアカウント削除
- PCやソフトウェアのライセンス、リース契約などの台帳管理
入社や退職、異動が重なる時期には、この業務だけで手一杯になることもあります。
社員が急に増えたときは特に大変です。PCの準備やアカウントの発行が増えるだけでなく、それに伴う問い合わせや設定変更など、ほかの業務も一気に増えます。目の前の対応を優先するうちに台帳の更新は後回しになり、気づけば管理台帳の最終更新日が数か月前のまま、というケースも珍しくありません。「どのPCを誰が使っているか」「ライセンスは足りているか」を正確に答えられない状態は、担当者の怠慢ではなく、1人で回している体制では起こるべくして起こることなのです。
(3)ネットワーク・サーバーの運用
社内のネットワークやサーバーが止まらないように保つ業務です。
- ルーターやWi-Fi、VPN(社外から社内ネットワークに安全に接続する仕組み)の設定と管理
- ファイルサーバーやNAS(ネットワーク上で共有する記憶装置)の容量管理やバックアップ
- 通信障害や「ネットワークがつながらない」ときの原因調査と復旧
普段は目立たない業務ですが、障害が起きると最優先での対応を求められます。原因調査に時間がかかり、ほかの業務がすべて止まってしまうこともあります。
(4)セキュリティ対応
情報漏えいやサイバー攻撃などから会社を守るための業務です。
- OSやソフトウェアの更新、ウイルス対策ソフトの管理
- 不審なメールが届いたときの確認や、社員への注意喚起
- 取引先から届くセキュリティチェックシートへの回答や、社内ルールの整備
セキュリティ対応は、やるべきことが広く、終わりがありません。取引先からの確認依頼など、期限のある業務が突然入ってくることも負担の一つです。
さらに難しいのが、セキュリティ機器やサービスの選定です。UTM(複数のセキュリティ機能をまとめた機器)やEDR(パソコンなどの端末への攻撃を検知・対応する仕組み)など、製品ごとに何ができて、自社に本当に必要なのかを見極めるには高度な専門知識が必要です。導入後に効果を検証するのも簡単ではありません。
そのため、よく分からないままベンダーに勧められて導入し、「入れているから大丈夫なはず」と思いながらも、実際にどこまで守れているのか説明できない。そんな状態になっていることもあります。日々の業務をこなしながら、セキュリティの専門家と同じ水準の判断を1人で求められること自体に、無理があるといえます。
(5)IT企画・ベンダー折衝
会社のIT環境をよりよくするための計画や、外部の事業者とのやり取りを担う業務です。ベンダーとは、システムやサービス、機器を提供する事業者のことです。
- 新しいシステムやクラウドサービスの導入検討、比較、見積もり取得
- ベンダーとの打ち合わせ、契約更新、障害時の問い合わせ
- IT関連予算の取りまとめや、経営層への説明
本来は会社の成長に直結する重要な業務ですが、日々の問い合わせ対応や障害対応に追われ、後回しになりやすい領域です。
いくつの項目にチェックが入ったでしょうか。多くの項目に当てはまった方は、5つの領域にまたがる幅広い業務を1人で担っている状態です。これだけの範囲を1人で抱えていること自体が、負担の大きさを物語っています。
4. ひとり情シスで起きやすい4つの問題
業務の範囲が広いことに加えて、ひとり情シスには構造的に起きやすい問題があります。代表的な4つを見ていきましょう。
(1)業務の属人化
何が起きるか:属人化とは、業務のやり方や情報が特定の人にしか分からない状態のことです。設定内容やトラブル対応の手順、ベンダーとの経緯などが、担当者の頭の中にしかない状態になります。
なぜ起きるか:1人で業務を回していると、手順を文書にまとめる時間を確保しにくく、共有する相手もいません。目の前の対応を優先するうちに、記録が後回しになっていきます。
放置するとどうなるか:担当者以外は誰も対応できない状態が続き、業務の負担がさらに担当者に集中します。業務の改善や引き継ぎも難しくなります。
(2)本来やるべき企画業務が進まない
何が起きるか:システムの見直しや業務の効率化など、会社のIT環境をよくするための企画業務に手が回らなくなります。
なぜ起きるか:問い合わせ対応や障害対応は「今すぐ」対応を求められるため、どうしても優先されます。企画業務は急ぎではないため、後回しになりがちです。
放置するとどうなるか:古いシステムや非効率な運用が残り続け、社員全体の生産性にも影響が出ることがあります。担当者自身も「守り」の業務だけで手一杯になり、やりがいを感じにくくなる場合があります。
(3)セキュリティ対応が後回しになる
何が起きるか:OSの更新、アカウントの棚卸し(不要なアカウントがないかの定期的な確認)、社員教育など、セキュリティ対策が十分に行えない状態になります。
なぜ起きるか:セキュリティ対策は、問題が起きていないうちは成果が見えにくい業務です。日々の対応に追われるなかで、「今やらなくても困らない」業務として後回しになりやすくなります。
放置するとどうなるか:対策の抜けや漏れが、サイバー攻撃や情報漏えいなどのリスクにつながる可能性があります。取引先からセキュリティ対策の状況を確認されたときに、十分に説明できないこともあります。
(4)退職・不在時に業務が止まる
何が起きるか:担当者が休暇や病気、退職などで不在になったとき、IT業務が止まってしまうおそれがあります。よくあるのは、次のような状況です。
- 引き継ぎ資料がなく、システムの構成や設定内容が分からない
- 管理者アカウントのパスワードを担当者しか知らない、または担当者個人のメモにしか残っていない
- どのベンダーと、どんな契約を結んでいるのかが把握できていない
- ネットワーク機器やサーバーの設置場所や接続のしかたが分からない
なぜ起きるか:(1)の属人化が進んでいると、担当者以外が業務を引き継ぐ手がかりがありません。1人体制のため、普段から代わりを務められる人もいないのが一般的です。
放置するとどうなるか:トラブルが起きても対応できる人がおらず、復旧に時間がかかる場合があります。担当者にとっても、「休みにくい」「休んでも連絡が来る」という状態が続き、負担がさらに大きくなりがちです。
これらの問題は、どれも担当者個人の努力不足から生まれるものではありません。1人に業務が集中する体制そのものが、こうした問題を生みやすいのです。
5. ひとり情シスの状態をどう変える?3つの方向性
ひとり情シスの状態を変えるには、大きく3つの方向性があります。
(1)業務を減らす
使っていないツールの整理や、手作業の自動化、クラウドサービスへの移行などで、管理する対象や作業そのものを減らす方法です。今の体制のまま始めやすい一方で、業務量が多すぎる場合は効果に限界があります。
(2)人を増やす
IT担当者を新たに採用したり、社内で兼任者を増やしたりして、業務を分担する方法です。ノウハウを社内に蓄積しやすい反面、採用や育成に時間とコストがかかります。
(3)外部に任せる
ヘルプデスクや運用業務などを外部の専門事業者に任せる方法です。専門知識をすぐに活用でき、担当者の負担を減らしやすい一方で、任せる範囲を社内で整理しておく必要があります。外部委託の内容については、情シス代行完全ガイド|依頼できる業務・料金相場・おすすめの選び方をご覧ください。
外部の支援サービスの全体像は、情シスを支援する5つの方法|外部サービス・ツール・人材活用を比較で紹介しています。
6. まとめ
- ひとり情シスとは、社内のIT業務を1人で担っている状態のことで、専任の場合も兼任の場合も含みます。
- IT業務が後から積み上がり、見えにくいまま1人に集まる構造から、属人化や企画業務の停滞、セキュリティ対応の遅れ、不在時の業務停止といった問題が起きやすくなります。
- 状況を変える第一歩は、自分が抱えている業務と問題を整理し、見える形にすることです。まずは3章のチェックリストから、今の状況を書き出してみてください。
ISO・Pマーク(プライバシーマーク)の認証・更新も安心
認証率100% ✕ 運用の手間を180時間カット!
信頼の「認証パートナー」が無料相談を受付中!
一目でわかる
認証パートナーのサービス紹介資料
10,000社以上の支援実績に裏付けされた、
当社サービスの概要を紹介しております。
資料の内容
- ・当社の『サポート費用・内容』
- ・取得までの『スケジュール』
- ・コンサル会社を選ぶ際の『ポイント』
- ・認証パートナーと『他社との違い』
- ・お客様のお声
情報システム認証パートナー
サービスのご案内
認証パートナーの専門コンサルタントが御社の一員となって事務局業務をサポートします。
お客様の作業は審査機関との窓口役だけ。知識がなくても大丈夫、我々にお任せください。
-
Pマーク
個人情報保護マネジメントシステム
高い保護レベルの個人情報保護マネジメントシステムを確立し、運用していることを示します。
認証パートナーなら、個人情報漏えい防止の観点も踏まえたサポートを実現します。Pマークの認証ページへ -
ISO9001
品質マネジメントシステム
品質マネジメントシステムは一貫した製品・サービスを提供し、顧客満足を向上させるための規格です。
認証パートナーなら、負担が増える形だけのISOではなく、より現場の実態に沿ったISOを実現します。ISO9001の認証ページへ -
ISMS・ISO27001
情報セキュリティマネジメントシステム
情報セキュリティマネジメントシステムは企業・組織の情報を守る規格です(ISMSとISO27001は同義)。
認証パートナーなら、情報セキュリティリスクへの対応計画、緊急時の対応計画踏まえPDCAサイクル回せるような仕組み作りを実現します。ISMS/ISO27001の認証ページへ -
ISO14001
環境マネジメントシステム
環境マネジメントシステムは環境を保護し、変化する環境状態に対応するための組織の枠組みを示します。
認証パートナーなら、課題になりがちな環境法令の対応についても一緒にサポート致します。ISO14001の認証ページへ -
ISO27017など各種対応規格
ISO27017やISO22000など各種規格もお得に 新規取得や運用・更新ができます。ご気軽にお見積りください。
ISO27017など各種対応規格ページへ -
複数規格の同時取得
ISOやプライバシーマークを同時に認証取得すると費用や工数を抑えることができます。安心してご相談ください
複数規格の同時取得ページへ
- © 2022 Three A Consulting Co., Ltd.









