2025年11月7日

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「測定機器の管理はどのようなことをするべき?」
「測定機器管理台帳と品質の関係性は?」
このような疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
製品の製造時など、測定機器を使用する場面は多くあると思います。
その際に必要となるのが、測定機器の種類や特徴、管理番号、校正情報などを記録する「測定機器管理台帳」と呼ばれるものです。
測定機器管理台帳で、機器の管理を行うことで、その測定機器の管理状態が把握しやすくなります。
なぜなら、いつ校正したか、校正は合格であったか、どのような前提で校正するのが正しいのかなどを判断することができるからです。
ここでは、測定機器管理台帳の重要性や、測定機器管理台帳が品質にどのような影響を与えるかなど、ISO9001の「7.1.5 監視及び測定のための資源」と併せて考察しながら解説していきます。
この記事を最後までお読みいただくことで、会社の測定機器管理台帳の適切な使用方法を理解し、計測機器の管理を徹底することで、自信を持ってISO9001の審査に臨めるようになるでしょう。
1.品質保証を支える測定機器管理台帳の重要性

測定機器は、製造業、医療業界、研究機関などで広く使用されています。
その正確性と信頼性は品質管理に無くてはならないものです。
測定機器などの管理は、品質規格の認証を取得している、していないに関わらず、維持することが品質管理の要となります。
そして、その測定機器を管理する際に必要とされる測定機器管理台帳があるからこそ、管理状態を見える化することができ、いつでも測定機器の情報を把握することができるのです。
では、なぜ測定器の管理が品質管理と繋がるのでしょうか。
ISO9001 7.1.5「監視及び測定のための資源」を基に、解説していきます。
(1) ISO9001 7.1.5「監視及び測定のための資源」とは
測定機器に関する規定、ISO9001 7.1.5「監視及び測定のための資源」では、以下の内容を要求事項として提示しています。
7.1.5.1 一般
要求事項に対する製品及びサービスの適合を検証するために監視又は測定を用いる場合,組織は,結果が妥当で信頼できるものであることを確実にするために必要な資源を明確にし,提供しなければならない。
組織は,用意した資源が次の事項を満たすことを確実にしなければならない。
a) 実施する特定の種類の監視及び測定活動に対して適切である。
b) その目的に継続して合致することを確実にするために維持されている。
組織は,監視及び測定のための資源が目的と合致している証拠として,適切な文書化した情報を保持しなければならない。
7.1.5.2 測定のトレーサビリティ
測定のトレーサビリティが要求事項となっている場合,又は組織がそれを測定結果の妥当性に信頼を与えるための不可欠な要素とみなす場合には,測定機器は,次の事項を満たさなければならない。
a) 定められた間隔で又は使用前に,国際計量標準又は国家計量標準に対してトレーサブルである計量標準に照らして校正若しくは検証,又はそれらの両方を行う。そのような標準が存在しない場合には,校正又は検証に用いたよりどころを,文書化した情報として保持する。
b) それらの状態を明確にするために識別を行う。
c) 校正の状態及びそれ以降の測定結果が無効になってしまうような調整,損傷又は劣化から保護する。
測定機器が意図した目的に適していないことが判明した場合,組織は,それまでに測定した結果の妥当性を損なうものであるか否かを明確にし,必要に応じて,適切な処置をとらなければならない。
引用元:ISO9001 7.1.5「監視及び測定のための資源」
「監視及び測定のための資源」の要求事項は、製造業などで欠かせない測定機器の適切な管理を求めるものです。
製品やサービスを取り扱う上で、それらが問題ないことを監視するための手段として「検査」があります。
検査は、製造した製品の合否を判断するためには必要不可欠な工程です。
では、検査をする際に使用している測定機器に問題がないことを保証するにはどうすればよいでしょうか。
また、その測定器は、製品やサービスを保証するのに正しい測定器といえるのでしょうか。
それらが正しいことを保証するために、ISO9001 7.1.5項の「監視及び測定のための資源」の要求事項があり、管理するために測定機器管理台帳が存在します。
(2)測定機器管理台帳には校正が必要
では、測定機器管理台帳とはどのようなものでしょうか。
まず、測定機器管理台帳を知る前に「校正とは何か」を知っておきましょう。
ここでいう校正とは、一言でまとめると「計測機器の精度・機能・動作を確認する行為」を指します。
計測器の現状を把握することこそが「校正」ということになります。
校正はメンテナンスや修理とは似て非なるものです。
修理・メンテナンス・校正の違いを覚えておきましょう。
- 修理
- 壊れたものを直す
- メンテナンス
- 整備・交換など
- 校正
- 計測機器の現状把握
(3) 測定機器管理台帳の役割
測定機器管理台帳を作成するにあたり、まずは、監視及び測定のための資源の要求事項からも読み取れるように、製品やサービスの合否を確認するために使用している、測定機器を洗い出す必要があります。
今回は、製造業がよく使用すると思われる測定機器を例に考えていきます。
例えば、1台のノギスを複数人で同時に使用すると非効率になるため、同じ型のノギスを複数台用意している企業があるとします。
しかし、その場合、同じ型のノギスを使用していても、「Aのノギス」なのか「Bのノギス」なのかが曖昧になってしまう可能性があります。
こうした混乱を防ぐために、ノギスに管理番号を付けます。
さらに、以下の情報を管理する必要があります。
- 校正が必要な時期
- 校正を実施した日時
- 校正結果が合格かどうか
- 校正の前提条件や基準
これらの情報を一元的に管理するために使用されるのが、「測定機器管理台帳」です。
2.計画的な校正と日常点検の実施・記録は品質管理に必須
ISOを認証取得していない企業であっても、測定結果が適切かどうかの保証をしなければなりません。
いくら検査成績書を付けたとしても、校正記録のない測定機器で検査した製品には、何の妥当性もありません。
では、実際に測定機器管理台帳にはどのような項目が必要なのか、さらに、測定機器の正確性を保つために必要な活動とは何かをご紹介していきます。
(1) 測定機器管理台帳に必要な管理項目
一般的な測定機器管理台帳に必要な基本的な事項は以下の通りです。
- 測定器の種類
- 測定器の型式
- 製造業者名
- 製造番号
- 製造年月日
- 測定原理・方式
- 測定範囲
- 電源の種類・所要電力
- 測定開始年月日
- 検定年月日
この他に、校正基準の内容を記載していく場合など、会社ごとに項目が変わってくるので、項目を抜き出す際にはルールを決めておくと管理がしやすくなります。
(2) 測定機器は点検、試験が重要
各測定器の管理・維持には点検が重要となります。
①日常点検(通常点検/巡回点検)
- 測定器稼働状況の確認
- 消耗品の交換・補給
- 簡易な校正、チェック
- 簡易な部分の清掃・交換
②定期点検(精密点検/伝送制度確認)
- 流路部の検査
- 検出部の検査
- 制御・伝送系の検査
- 増幅・記録部の検査
③緊急点検
- 故障の発見と軽微な修理
- 原因究明と修理
④性能試験
- 機器性能テスト
- 機器安定性テスト
- 測定データの評価
これらを定期的、または必要な際に行うことで、正確な測定機器を使用し続けることができるようになります。
3.測定機器管理台帳の維持はコスト削減や作業効率向上につながる
測定機器管理台帳を管理し、ルール通り活用することで、企業側は費用の削減や作業効率の向上などのメリットを生み出すことができます。
(1)費用の削減と効率性の向上
測定機器管理台帳を活用して正確に管理された測定機器は、製品の品質を維持し、不良品の生産を減少させることが可能です。
さらに、日常点検や定期的な校正を実施することで、機器の寿命を適切に管理でき、交換が必要な測定機器を的確に判断することができます。その結果、不要な交換コストを削減することが可能となります。
これらの取り組みにより、全体的なコスト削減が実現し、作業の効率性も向上します。
(2)品質の向上
正確な測定機器は、製品の品質向上に大きく関わってきます。また、良質な製品の製造を継続するために、重要な役割を果たします。校正が適切に行われていない測定機器を使用することで発生する品質問題や不良品のリスクを軽減するためにも、測定機器の正確性は常に維持されるべきです。
4.まとめ
本コラムを読んで、測定機器を管理することが品質向上につながることが分かったのではないでしょうか。
測定機器の管理が行き届いていないと、いくら検査工程で合格が出たとしても、何の妥当性も持ちません。
測定機器の管理をきちんと行うためには、測定機器管理台帳が必須になってきます。
測定機器管理台帳には、測定機器の管理番号、測定機器の名称、製造番号、メーカー名、型式、校正期間、最終校正日、校正基準、校正結果(器差など裏付けある計測データも含めて)、管理担当部署、保管場所などが記載されます。
これらは会社によって内容が変わってくるため、会社ごとのルールを把握する必要があります。
また、品質を維持するためには日常点検を行わなければなりません。
日常点検を行うことで、どの製品に何の機器を使用したかがわかるためです。
このように、製品の製造時には、必ず測定機器の管理が必要となってくるのです。
ぜひ、本コラムで得た知識を参考に、会社で使用している測定機器の管理に役立ててください。
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