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ISO9001:2015(QMS):2015年度規格改訂 4.1項「組織及びその状況の理解」規格解釈:建設業の運用事例

スタッフ写真
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2019年6月17日

今回のテーマISO 9001(QMS):2015年度規格改訂4.1項「組織及びその状況の理解」規格解釈:建設業の運用事例についてご紹介致します。まずは今回のJIS Q 9001:2015の4.1項「組織及びその状況の理解について該当する要求事項」を見てみましょう。

JIS Q 9001:2015の4.1項「組織及びその状況の理解について該当する要求事項」

4 組織の状況

4.1 組織及びその状況の理解

組織は組織の目的及び戦略的な方向性に関連し、かつ、その品質マネジメントシステムの意図した結果を達成する組織の能力に影響を与える、外部及び内部の課題を明確にしなければならない。

組織は、これらの外部及び内部の課題に関する情報を監視し、レビューしなければならない。

注記1 課題には、検討の対象となる、好ましい要因又は状態、及び好ましくない要因又は状態が含まれ得る。
注記2 外部の状況の理解は、国際、国内、地方又は地域を問わず、法令、技術、競争、市場、文化、社会及び経済の環境から生じる課題を検討する事によって容易になり得る。
注記3 内部の状況の理解は、組織の価値観、文化、知識及びパフォーマンスに関する課題を検討することによって容易になり得る。

解説

ここでの解説として、「経営環境や経営課題を踏まえた上で、品質マネジメントシステムを作って、運用してね」という内容になります。

外部及び内部の課題とは、「競合他社があんな商品を出した」、「現在、新しい機能がついた商品が流行っている」、「今後、補助金が付いた制度ができるそうだ」、「来年は多くのベテランが退職予定だ」、「工場の設備が老朽化している」、「営業社員が少なく、外部へのアピールが不足している」等、多くの大企業、中小企業含む企業全体が持つ外部、内部への課題についてのことです。

つまり、社内の経営者会議や、部課長会議の議題であがる話題であり、これらは経営計画や事業計画、実行計画の内容として盛り込まれている内容の1つでもあります。
なので特に新しいことをする必要がほとんどないんですね。ほとんどの企業で既にやられていることの1つなのですから。

規格要求事項で記載されている‘決定’、‘監視’、‘レビュー’なんて言われると、台帳や記録をこしらえてそこに内外の課題を登録して定期的に見直しをしないといけないんだろうか??と思う方もいるかもしれません。

しかし、早まらないでくださいね。ここでの規格要求事項には文書化、記録化の要求はございません。普段の日常で考えられている外部・内部の課題を把握しておいてくださいねという内容がここでは記載されています。

では、建設業の運用を例に少し事例をご紹介したいと思います。

建設業の運用例

建設業(15名の施工管理に主を置く業者の事例)

外部環境の強み(組織にとって機会(チャンス)は何か)
国からの助成金の増加により社内教育が充実。

外部環境の弱み(組織にとっての脅威は何か)
国交省の仕事を中心に予定価格の低迷。

内部環境の強み(組織の強みは何か)
スキルアップ(資格、外部講習)。

内部環境の弱み(組織の弱みは何か)
慢性的な人材不足(特に若手社員不足、ベテラン社員の定年退職等)

建設業では、上記のような課題を上げることができる。
では、上記を把握してどのようにするのか?

上記では、現在の建設業における外部・内部の強みと課題を現状把握できた。

そこで次は戦略の確立だ。企業力を向上する有効な手段は、一つひとつの業務を効率化し、効果を最大化することである。そしてその業務改革をするために最適な意思決定を下すことである。ここでは、現状を把握した上で「結果に基づいて最適な行動まで結びつける力」である。

ISO9001:2015の4.1 組織及びその状況の理解で把握した自社の外部・内部の強みと課題を最適な行動に結びつけるようにしていく必要がある。

ステップ1 目的を明確にし、データ分析の指標を設定する。
ステップ2 データを収集し、加工する。
ステップ3 出てきた事実を基に現状の課題、原因を深く掘り下げて追及する。
ステップ4 課題・原因に対して、対策を実施する。

上記のようなステップをISOのマネジメントシステムで求めている。
自社の外部・内部の強みと課題を把握するだけでは何も変わらないというわけです。強み、課題を把握した上で、どのようにPDCAを回して運用していくかが重要なんです。

最後に

今回のISOの規格改訂でより現実、実務に近い形でISOを運用できるようになると言われていますが、企業としてトップが自社の現状把握ができていることがまず一番の重要なこととなります。形骸しないような仕組みを作るというよりは、自社の経営活動をどのように促進していくか考えていくことがISOにつながるかもしれませんね。

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